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この複合体は、きわめて高いエネルギー移動効率を有している。実験的には、下記がわかってきた。
・ 励起している分子のドメインにわたってコヒーレント励起子が拡がる。
・ ドメインのサイズは、温度に逆比例する。
・ 励起子は、寿命の間コヒーレントである。
・ 励起子の寿命は、温度に比例する。
・ ドナーからアクセプターへのエネルギー移動の効率は温度に逆比例する。
この仕組みは、膜表面のエネルギー移動を利用したアンテナ集合体に活用できそうである。

 

4.2.3 光駆動プロトンポンプ
(1) 生命エネルギーの概要
生物を構成する細胞は形質膜によって内外を区画しているが、これはただ単に構造的な隔壁となっているだけではなく、イオンをはじめとする種々の水溶性物質に対する隔壁ともなっている。生物はこの膜内外のイオンの濃度勾配を電気化学的なポテンシャルとして利用している。このイオンの濃度差をつくりだすために働いているのが、イオンポンプである。ここでは、光エネルギーを化学エネルギーに変換するポンプについて示す。

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図4−8 イオンポンプの機能

 

 

 

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